大器晩成のまま生きる。


 相変わらず、今週末に控えた2つのイベント準備に追われる。式次第を作ったり、ホテルや旅行業者と電話で連絡を取り、上司に根回しし、スタッフ会議を開いて一日が暮れていく。


 閉店間際の駅ビルのデパートに飛び込む。明日は自分が義理堅い人間かどうかが問われる日であることを思い出し、あわてて菓子売り場に行くと、すでにお手ごろなパッケージ物は売り切れており、そこここのショーウインドーの前にはサラリーマン男性がすずなりだ。比較的空いているGODIVAの前に立つ。明日はチョコを買うような余裕はないので、ここで手を打つしかない。一月前に机の上に並んだ義理の形象の数を思い出し、比例する個数を店員に告げると結構な額となり、財布の中身も軽くなる。


 本屋には寄らずに帰る。


帰宅するとポストに封書が。僕が入っている生命保険の会社からだ。印刷された“誕生日おめでとう”の紙が入っている。それにはなぜか占いが載っていて僕の運勢を教えてくれる。それによると僕は大器晩成型で55歳からすばらしい人生が待っているらしい。10代の頃からずうっと大器晩成と言われ続け、まだ後10年以上も雌伏の時を過ごさなければならないのかと思うと、送りつけてきた保険会社の担当者の意図とは異なり、どんよりとした気分になってしまう。


 小西康陽「ぼくは散歩と雑学が好きだった。」を眺める。「小西康陽小西康陽になるために読んだ100冊の本」を味読する。安藤鶴夫「ある日その人」(婦人画報社)がその1冊として挙げられている。今話題の佐野繁次郎装丁本。僕もサイン本を持っているのでうれしいね。

小西康陽ヴァラエティブックのBGMにはやはりこれを。

pizzicato five I love you

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