待合室で何を読む。

 

 遅番なので、クリーニング屋や郵便局に寄ってから歯医者へ。


 待合室で岩本素白東海道品川宿」(ウエッジ文庫)を読む。先週もこの待合室で同じ本を読んでいたなあ。最近携帯本を読むチャンスが少ないので遅々として進まないのだ。品川宿にいた正直者の車夫が矢切の渡しで落ちそうになったり、甘酒屋に商売替えしたりなどという今は昔の浮世離れした話を読んでいるとここがどこかわからなくなる。外は殺伐としたニュースと冷たい雨が降り、目の前の扉の中では治療器具という名の凶器が身に食い込む音がするこの待合室には似つかわしい読書かもしれない。


 昼食を買ってから職場へ行き、昨日買った野いちご烏龍茶を入れて食事をする。


 7時過ぎに退勤して本屋を覗く。ねじめ正一荒地の恋」(文藝春秋)を見つけるが、読みたいのに読むチャンスを作れるか不安なので見送る。この本との関連で講談社文芸文庫の棚にある田村隆一「若い荒地」も興味津々なのだが買い控える。


 帰宅して、杉森久英大政翼賛会前後」(ちくま文庫)を少し読んでから入浴。


 風呂場のBGMにBILLIE HOLIDAY「BILLIE'S BLUES」(BLUE NOTE)を流す。前半は1954年のドイツでのライブ録音。レナード・フェザーのアナウンスの後、僕の好きなスタンダードナンバーである「ブルー・ムーン」をビリーが歌い始める。そこのところが好きでよく聴く1枚。2曲だけ伴奏がバディ・デフランコのバンドになっており、そこでピアノをひいているのがソニー・クラークというのもまたうれしい。


 文庫新刊情報に3月分の新刊がアップされている。なかなか集英社文庫ががんばっているではないかと思う。

http://www.honya-town.co.jp/hst/HT/kinkan/bunko/03_b.html