山の低きに喜ぶ。


 今日も会議その他もろもろあってなんだか疲れた。


 退勤後本屋に寄る。新書の棚を流していると、光文社新書の今月の新刊が平積みされており、「読書の腕前」が他の本より山が低くなっていることを確認する。売れているんだな。岡崎さんの本であるということを置いても、このような読書(本)に関する本が売れることはなんだかうれしいものなのだ。


 帰宅後、アマゾンから届いた「石川近代文学全集5 加能作次郎藤沢清造戸部新十郎」(石川近代文学館)を手に取る。数日前に発送延期のメールが来たと思ったら昨日突然発送メールが舞い込んだのでなんだかからかわれているような気分。


 いきなり藤沢清造根津権現裏(抄)」を読み出すのはちょっと重そうなので巻末にある評伝に目を通す。演芸雑誌の記者や松竹キネマの嘱託などを経て「根津権現裏」を発表し、それが花袋や藤村に評価されて作家として名を知られるようになったこと、その改訂版を出すときの井伏鱒二とのやりとりが浅見淵「昭和文壇側面史」に書かれていること等を知る。
 印象的なのはこの評伝を書いている西敏明氏も文中に引用されている杉森久英氏も「根津権現裏」をほとんど評価していないという点だ。西氏は暗くて退屈なので通読できなかったと言い、杉森氏は《その天分に恵まれることの薄いのにむしろあわれを催した》とまで言っている。逆にここまで貶されると読んでみたくなるから不思議だな。幸か不幸かこの本には分量の関係で抄録として収められている。西村賢太氏編集の「藤澤清造全集」が出れば全編が読めるのだろうが、それはいつになるのだろうか。


 おまささん(id:mittei-omasa)のところで「鬼平犯科帳スペシャル 一本眉」が4月6日夜9時から放映されるということを知る。盗賊一本眉を宇津井健江戸家猫八亡きあとの彦十役に長門裕之という顔ぶれらしい。う〜ん、彦十はやっぱり……。