夕方、仕事を終えて退勤しようとしているところへ友人からメールが来る。いつものようにいつもの料理屋への誘いだ。待ち合わせ時間まで地元の古本屋を覗く。
- 遠藤一夫「おやじの昭和」(中公文庫)
- 矢野誠一「落語長屋の四季の味」(文春文庫)
前者は100円棚から。まったく知らない著者なのだが、カバーにある《失われゆく印刷物を掘り起こし体験を通じて、激動の時代を再構築する》という紹介文に惹かれた。
後者は、未所持だった矢野さんの文春文庫の1冊。「落語歳時記」、「酒と賭博と喝采の日々」も手に入れたい。
新刊書店で『WiLL』4月号を入手してから料理屋へ。
すでに友人はハートランドを飲んでいた。梅酒ロックを頼んでから、“新ジャガのそぼろ煮”、“たらの芽の天ぷら”、“焼タケノコ”、“自家製ピクルス”などを食べる。美味し。
帰宅して『WiLL』に目を通す。向井さんが「古書現世店番日記」(id:sedoro)で触れていた山本伊吾「『室内』五十二年目の休刊は『天寿を全うした』」から読む。山本夏彦という希有の雑誌経営者の姿が彷彿としてくる文章だ。『室内』編集部がこれほどまでに女性だらけの場所だとは思わなかった。山本夏彦氏が作り上げた「いらっしゃいませ」ではなく「いらっしゃいまし」と挨拶する編集部というのは悪くない。
日垣隆「どっからでもかかって来い!」は、喧嘩相手を見つけているので生き生きしている。今回は、毎度御馴染みの郵政公社とみずほ銀行の他に、筑摩書房と脅迫メールを送ってきた高校教師だ。筑摩書房の件は、容易に想像されるとはいえ、筑摩の経営が苦しいことの現れであろう。ちょっと心配。
向井さんの「早稲田古本劇場」には笑ってしまう。本を入れる段ボールに対する客のこだわりの方向性がどんどんと本来の中心点から外へ外へとそれて行く感じがサイコーだ。あの風に吹かれて飛んできた段ボールの話がここに入るのですね。納得です。
今日のピアノトリオ。
寺島本の219頁に載っているこのアルバムを聴く。
- アーティスト: レッド・ガーランド,ウェンデル・マーシャル,チャーリー・パーシップ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2005/03/24
- メディア: CD
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確かに寺島氏が言うように6曲目の「誰も知らない私の悩み」はいつものガーランド節を感じさせない。シンプルで、淡い墨絵のような演奏に心和む。