露天の古本屋。

仕事帰りに、本屋に寄る。

  • 『東京人』10月号

特集が“明治ニッポンの家庭教師たち 「お雇い外国人」を知っていますか?”で、小特集は“生誕100年 映画監督成瀬巳喜男の世界”だ。特集では、外国人たちの撮った明治初期の東京の写真が面白い。小特集は、川本三郎さんのエッセイに小林桂樹草笛光子長岡輝子といった成瀬映画に出た役者さんへのインタビュー、それから武藤康史さんの成瀬映画におけるセリフの考察。「ま、気のもんだ。とっといてやって」(「おかあさん」)、「お二階のねぇ、二食(にじき)なんだよ」(「稲妻」)、「よく黒目が流れないねえ」(「流れる」)といった表現が取り上げられている。
本屋の後に、TUSTAYAへ。「リンダリンダリンダ」の山下敦弘監督の「リアリズムの宿」とブルーハーツのCDを借りた。
家で「リアリズムの宿」を観る。冬の鳥取を旅する二人の若者。噛み合ない会話と気まずい雰囲気がのったりとした時間と薄暗い空間に漂う。山下監督と共同脚本を書いている人が照明を担当している。そのためか、鄙びた宿での薄暗い映像がいい味を出している。主演のひとりである俳優・長塚圭史を見るのは初めて。こういう人なのかと思う。それからヒロインを演じる尾野真千子も初見。こんなに鼻が大きいのに愛らしいという不思議さ。中山美穂伊東美咲のような整い過ぎたスマートな鼻を見ると何故か引いてしまう僕には、この人の鼻は好印象だ。覚えておこう。
TVで「世界の車窓から」を観ていると、ブルガリア路面電車の窓外に露天の古本屋が。外国にいると露天の古本屋にしばしば出会う。サントリーニ島の広場で、ロンドンのテムズ川の橋の下で、そして、オークランドのフェリー乗り場でも。日本にはお祭り以外の日常的な場所で露天の古本屋を見かけることはまずない(駅で漫画雑誌を売っている人は見かけるが)。のんびりと路面電車に揺られて露天の古本屋をひやかすような休日なんてちょっと憧れる。COWBOOKSのトラックみたいに大掛かりでなくていいから、センスのいい若い人で露天の古本屋を考える人が何人かでてきてくれないかな。


【月刊アン・サリー計画/今日の1曲】

サザンの中で一番好きなアルバム「NUDEMAN」のラストを飾るバラード。桑田佳祐一流の危ない歌詞が気になるようなら、ジャズ・シンガーの金子晴美が英語でサザンの名曲を歌った「SPECIALMENU」所収の英詞でもOK。