東西老舗大古書市。

本日から通常モードとなる。
出張の疲れが残っているため、出勤してもなんだが眠くて仕方がない。なんとか仕事をこなして、新宿へと向かう。
新宿京王百貨店で行われている第55回東西老舗大古書市へ。出店数も多く、端から端まで眺めていたら2時間も経過していた。結局買ったのは2冊。

「銀座が好き」は『銀座百点』に創刊の昭和30年からこの本の出た平成元年までに掲載されたエッセイ約3000篇の中から70篇が収録されている。以前に、『銀座百点』の100号を「海月書林」から買って、そこに載っていた総目次を眺め、面白そうなエッセイが揃っているのに感心し、いろいろ読んでみたいものだなあと思っていたのだ。
「わたくしの東京地図」は、京都の古本屋・赤尾照文堂の棚から。昭和39年12月に出た本で、雑誌『旅』の連載をまとめたもの。当時の東京の写真がたくさん掲載されている。また、東京の街や風俗を描いた木村荘八の挿画もところどころにちりばめられている。僕が生まれた頃の東京の街を感じさせる本なので購入。赤尾照文堂の棚は、状態のよい本がピシッと収まっていて、他の店とはちょっと違った端正な雰囲気を醸し出していた。東京での古書市を意識して東京本を中心の品揃え。値段もしっかり付いているので、買うまでにはいたらなかったが、欲しい本が結構あった。
赤尾照文堂の値札の下には「萬字屋書店 大阪阪神地下街」の札が。それと1974年4月10日に萬字屋書店で購入したことを証す650円のレシートも挟まれていた。定価850円の本を買った人が大阪の萬字屋に売り、萬字屋で買った人が京都の赤尾照文堂に売り、それを東京で僕が買ったというわけだ。古本には履歴書が付いてくることがある。これがまた楽しい。
地元の書店で雑誌を1冊買ってから帰宅。

  • 『WiLL』9月号

まずは、隆&透史から。日垣さんの「どっからでもかかって来い!」は、車内通販でいい加減な商品を売るJR東日本に噛み付くジャブから、ネットで見つけた1億近い軽井沢の家を買おうとする買いっぷりのよさをちらつかせながら、自分のサイトで売った電子書籍が初日で新書1万冊分の印税収入をあげたという話へ。ネット販売の隆盛を自分の体験を通じて指摘しながら、それが同時に自分の講座「ネット活用と通販の極意」とその書籍化のPRともなっているところがさすがである。
向井さんの「早稲田古本劇場」は、コレクターの死から始まる宅買いの話。やはり、持ち主がいなくなった本は家族の厄介者になる運命なのだな。コレクターでも何でもないが、自分が死んだらこの部屋に積んである本はどうなるのかと考えてしまう。稀覯本など皆無であるが、もし横浜まで来てもらえるなら、向井さんにお願いしようかな。古書現世で買った本もあるしね。
今日買ってきた「銀座が好き」から、田中小実昌「銀座ぐるぐる」を読んでみる。コミさんの銀座での行動ルートを辿ったエッセイ。銀座の地名や店名、それに人名など固有名詞がたくさん出てくるのが楽しい。カント「純粋理性批判」の文庫本を読みながら地下鉄で銀座へ通うコミさんの姿が目に浮かぶ。
読書の次はブログ散歩。ブログ「悪漢と密偵」経由で9月の新潮社新刊案内を見ると、村上春樹氏の本が2冊出る。
1冊は『新潮』に連載していた「東京奇譚集」。もう1冊は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だ。「世界の終わり…」は、単行本が新潮社の純文学特別書き下ろし作品シリーズの1冊として出て、現在では上下2分冊で新潮文庫に入っているのだが、これをなぜまた単行本として出すのだろう。加筆がされているのか、それとも作者が封印したあの原型となった作品が収録されていたりして。まあ、それはないか。
それにしても、「悪漢と密偵」というブログは、以前からいろいろなブログのアンテナに入っていて気になっていたのだが、覗いてみるといろいろなサイトから新刊情報を集めて、リストアップしてくれているなんとも便利でありがたいブログ。アンテナに入れさせてもらいます。