盆と正月が一緒に来る。

仕事帰りに本屋によるとこの雑誌が発売になっていた。

  • 『東京人』4月号

昨日、坪内さんの本を読んでこの雑誌のことを考えていたところに丁度よいタイミング。
特集は“東京なくなった建築”。このタイトルが入ったページには2002年に取り壊された同潤会清砂通アパートの写真が掲載されている。これは、いい加減な記憶で書くのだが、確か洲之内徹さんがこのアパートに一時期住んでいたことがあったはずだ。
その他、姿を消した沢山の建物の写真が収められている。ページをめくっていると国際文化会館の写真があったので驚く。六本木にあったあの建物もなくなってしまったのかと思い、記事を読んでみると再生・保存が決まったという内容。ホッとする。この建物に縁のある方と知り合いで、2度ほど連れて行っていただいたことがある。ともに桜の季節で、この会館の周囲には桜が多く、花見の隠れた名所であると教えられる。喫茶室では桜のアイスクリームを出していて、街灯に浮かび上がる夜桜を愛でながら桜色のアイスを食べる贅沢な時間を過ごしたことが思い出される。またすぐに桜の季節だ。

小特集は“祝!九代正蔵襲名 林家三代 正蔵 三平 こぶ平”である。これも、昨日「笑伝 林家三平」を買ったばかりなので、オッと思う。今月21日に行われるこぶ平さんの九代目正蔵襲名披露に合わせた特集。インタビューでこぶ平さんが語る古今亭志ん朝さんとの交流がいい。北海道のサウナで2人っきりとなり、志ん朝師匠の芸談を聞くという垂涎の時を過ごしている。『文七元結』の勘所が佐野槌のおかみの料簡にあるという話を聞き、なるほどと思う。それ以外にも『芝浜』、『妾馬』、『火焔太鼓』、『堀の内』などの話が出たと言う。偶然にそのサウナに居合わせてみたかった。こっそりと聞き耳を立てていたかったなあと体がムズムズしてくる。

志ん朝さんと言えば、師匠の朗読した「鬼平犯科帳」のCDが今度発売されることを知った。“志ん朝”と“鬼平”という大好きなものが2つイッペンに味わえるという喜び。まるで、「盆と正月が一緒に来る」の用例として新明解国語辞典に載せたいくらいだ。すかさず、アマゾンに予約を入れる。志ん朝さんは昔のテレビドラマの「鬼平犯科帳」で木村忠吾役をやっていたとのこと。どこかにビデオがないものか、一度見てみたいものだと思う。