洲之内さんと林さん

今日は職場の反省会と称する飲み会が中華料理屋であった。
会場が地元ということで気楽でいい。それに仕事で遅れていったため、上司の長い挨拶も聞かずに済んだし、この店で唯一美味しいと思える餃子には間に合ったので、まずは目出度い。

飲み会帰りに書店を覗いて、この本と出会う。

以前に同じ出版社から出た「おいてけぼり」に続く単行本未収録エッセイ集。この本が出ることをまったく知らなかったため驚きと喜びが体を走りぬけた感じ。いそいそとレジへ。今日は職場もちの飲み会で一食分浮いていると思うと財布の紐もゆるくなる。
「しゃれのめす」にはいろいろな雑誌に書いた画家や絵画についてのエッセイが集められている。文章で取り上げられている絵もカラーで収められており、目にも楽しい。しかし、解説や解題の類がまったく付いていないのは不親切。例えば「画廊にて」という表題のもとにまとめられている一連の文章はどういう媒体に発表されたものかこの本だけからでは分からない。この本で初めて洲之内さんの文章に接する人もいることを考えて欲しかった。
そうはいってもこの本が出たことは幸せなことだ。気持ちに余裕のある時期に、舌なめずりするように読んでみよう。

芸術随想 しゃれのめす

家に帰ると、ポストに「林哲夫素描展『読む人』」の案内状が。
3月4日から13日まで高輪の啓祐堂ギャラリーで行われるとのこと。
行ってみよう。
案内状に貼られた祇園祭の切手といい、裏のクリーム地に描かれた読書する女性の素描といい、林さんの趣味のよさと目配りに素直に感動する。

洲之内さんの本に出会った日に林さんの葉書が舞い込む。粋な偶然だ。