JJ氏・梶山季之・小谷野敦

今日は雑誌を2冊。

  • 『Pen』2月15日号
  • 新潮45』2月号

『Pen』の特集は「植草甚一のように、歩いてみたい。男の東京マップ」である。現在晶文社から植草甚一スクラップ・ブック全40巻の復刊が行われており、ちょっとした植草甚一リバイバルの様相を呈している。昨日「植草さんについて知っていることを話そう」を手にしたと思ったら、今日はこの特集というわけだ。イラスト(コラージュ?)を使った表紙も『Pen』らしくなくていい。ただし、JJおじさんについてはほんの数頁で終わってしまい、後は普通の地域別ショップカタログになってしまうのが残念。
新潮45』を買ったのは、1月30日の南陀楼綾繁さんのブログで、小谷野敦氏の連載コラムが面白いと言っていたので読みたくなったのだ。「中島義道に答える」というコラムで、小谷野氏はある講演会に参加した時の出来事に怒りを露わにしている。講演会の打ち上げの酒席に出る前に氏が主宰者に酒席でからまれたら直ぐ席を立つことをあらかじめ宣言するのもさすがだが、本当にからまれてしまうのもさすがだ。からみ役の山内という人が神保町の東京堂に小谷野氏の本がないと言い張り、それを氏が店にまで確認しに出かけていくというのも当人が真剣だけに何だか笑ってしまう。中島氏への怒りがどんどんあらゆる方向へ拡散していく様子は、「八つ当たり芸」とか「怒り芸」とでも呼ぶべき領域に突入しているようにみえる。
この2月号には、日垣隆「伝説のトップ屋 梶山季之前人未到の連載をこなした理由」も載っている。月に900枚の原稿を書き続けた流行作家であった梶山季之が、自分の書きたいものを書く純文学作家でありたいと思いながら、読者の読みたいと思うものを書く大衆文学作家として生きたその内面に迫ろうとした文章。できれば、なぜ梶山季之が月産900枚もの原稿を、しかも書き損じのない原稿の状態で書き続けることができたのかという技術論に触れてほしかった。

雑誌を買った書店で、ちくま文庫ちくま学芸文庫の解説目録を貰った。この目録には品切れ一覧表が載っている。もはや新刊書店では手に入らなくなった文庫本のリストである。これを携帯しながら、ブックオフを回って、リストの本をすべて集めてみたい誘惑に駆られる。