箱に書く/箱に書いてもらう。


 昨日夜に選んだ本とCDとビデオをバッグに詰め込み雑司ケ谷へ。


 副都心線雑司ヶ谷駅を降りると周りにはカートを押したり荷物を持ったりしている若い人たちが何組か前を歩いている。これはみちくさ市に出店する人に違いない。初めて行く鬼子母神通り商店街まで案内してもらおうとついていったらそこは手創り市であった。


 あわてて駅まで戻りきょろきょろしてみると鮮やかな明るい紺色の幟が目に入る。ああ、あそこがみちくさ市か。


 商店街に入ってすぐのコンビニでマジックペンと飲み物を買う。実は昨晩パソコンで作った“伴健人商店”の看板と“CDとビデオは300円”の紙を忘れてきたのだ。これで箱に書くことにする。


 本部前に行くと向井さんやリコシェ豆ちゃんの姿が。ようやくホッとする。


 今日の出店場所は本部横の池田ビル。場所も広く、通りの向いの喫茶店「さむしんぐ」さんでトイレも貸してもらえるとのことありがたい。


 持ってきたレジャーシートに面出しでCDやビデオを並べる。レイアウトや什器になんの用意もなかったので、リード・マイルスのデザインによるBLUENOTEのジャケットにおんぶさせてもらうことに。残りのスペースにカバーに写真が使われているビジュアル的によさそうな本や雑誌を並べてみる。倉庫の出入り口にあたるので緩い傾斜がついており、それがちょうどよい角度で商品を見やすくしてくれている。後の文庫や新書などは段ボールの中に入れたままにして開店準備完了。


 時折風が吹いて肌寒いが、そのうちに日が出てきて暖かくなる。風もあまり感じなくなった。


 開店の10時から人通りがあり、多くの人が店をのぞいてくれる。段ボールの箱に“CDとビデオは300円”と書いておくと最初に売れたのはソニー・クラークのCD2枚だった。この後もCDはよく売れて計10枚近くが買われていった。ほとんどがジャズのBLUENOTEレーベルの定番もの。アストラッド・ジルベルトやnoonといったボーカルも数枚あった。

 ビデオは「ニノチカ」、「レディ・イブ」、「ラブ・ハッピー」(グルーチョ・マルクスマリリン・モンロー)、「ロング・グッバイ」など5本。4本が売れた。ビデオデッキも見なくなった昨今、ビデオは駄目かなと思ったのだが、年配のお客さんもおり、思いのほか売れてくれた。


 本も前回の外市で出したものの在庫が中心だったのだが客層が幅広かったため40冊近く買ってもらえた。


 午後2時から値下げをはじめ、3時過ぎからは全品200円のセールを行った。なかなか売れなかった絶対本には収録されない樹木希林インタビュー収録の『hon-nin』も叶恭子の悩殺ドーダ表紙にもめげずに買ってくれる人がいたのがうれしかったな。セールの甲斐があったというものだ。


 ひとり店番のため昼食もとれずしょんぼりしていたところそれを察してか退屈男さんが店番を代わってくれる。急いでコンビニでおにぎりを買ってきて昼食。このほか、我慢できずに店をそのままにトイレに行った僕を見て豆ちゃんが店にいてくれたり、どこの店も見ていない僕をかわいそうに思ったNEGIさんが「店番しているから見てきていいですよ」と言ってくれたので、周りの数店だけだったが見て回り、買い物もできた。皆さんに感謝である。


 買った本はこの3冊。

 前の2冊はそれぞれ同じ池田ビル前で店を出していた方たちから。値引き後の値段で買わせてもらった。最後の本は「北方人」の小谷さんの箱から。半額にしてもらった。ありがとうございます。


 4時過ぎに店をたたむ。バッグも箱も軽い。うれしい。


 本部などの撤収を手伝い。往来座へ行く。ここで内澤旬子さんの「おやじがき」(にんげん出版)と「雲のうえ」9号を入手。「雲のうえ」の表紙もなかなかの顔力のある「おやじ」が表紙だ。


 片付け終了後、いつもの世界の山ちゃんで打ち上げ。「北方人」の小谷さんや瀬戸さん、退屈男さんと同じテーブルで飲み食いする。たらふく食べた。満足満足。

 近くのテーブルにいた浅生ハルミンさんにサインをお願いに行く。実はみちくさ市でお会いした時に、「ハルミンの読書クラブ」と「ナリコの読書クラブ」のくるみ箱入りを前回の外市で買おうと思っていたのに残念ながらもう売り切れていたという話をしたところ、今日持っていていたくるみ箱入りセットをバラで売ることになったからと箱をプレゼントしてくれたのだ。その箱にサインをしてもらう。僕の名前とイラストも入れてくれる。ありがたいことです。


 9時過ぎに宴を後にする。渋谷で座ったらすぐに眠りこけてしまい3駅ほど乗り過ごしてから目覚めた。あわてて向かいのホームに来た電車に乗り換える。


 帰宅後、睡眠不足を解消するために、ブログも書かずに就寝。