青菜より白。


 今日は仕事が午後からなので、午前中に皮膚科に行くことにする。目の周辺の皮膚がむけてしまうのは前からなのだが、最近首まわりが赤く炎症をおこしており、先日耳鼻科の先生に「アトピーだから(耳の中が)まだ赤くなっているのはしょうがないね」と言われてビックリした。これまでアトピーであったことはないのである。


 9時半に皮膚科の入っているビルの前に行くと看板には10時から診療とある。それではと近くのスターバックスに入ってカフェモカを飲みながら「東京奇譚集」の続きを読む。
 
 10時10分前に皮膚科の扉を開けると、待合室にはすでに10人以上の患者がソファにビッシリ座っているではないか。
 なんとか子ども連れ用かとも思われる縫いぐるみが置いていあるソファの角に座れるスペースを見つけて腰をおろし読書にいそしむ。1時間経っても順番は来ず、1時間半経過するも名前は呼ばれない。このままでは午後からの仕事に間に合わなくなるため保険証を受け取って引き揚げることに。こんなことなら9時半に受付を済ませておくんだったと悔やむ。

 ただ、おかげで村上春樹東京奇譚集」を読み終わることができた。最初の「偶然の旅人」は例外として、その他の短篇はどこかユーモアを意識したつくりになっている気がする。そして繰り返される御馴染みの人が消えるモチーフ。
 春樹ワールドを読む度に思うのは、「羊をめぐる冒険」で“僕”が“羊男”に発したあの言葉を読者が受け入れた瞬間に村上氏は作品の中に世界を救うカエルや人の言葉を話す猿を登場させる自由を獲得したのだということだ。


 電車に乗って平塚に向かう。車中読書は竹熊健太郎「篦棒な人々」(河出文庫)に交代。まずは一番興味のある川内康範篇から読み始める。この人は「月光仮面」の原作者であるだけではなく、「レインボーマン」の作者でもあるんだよな。《インドの山奥で修行して ダイバダッタの魂宿し》の主題歌はいまでも耳の奥で谺している。大学時代岩波新書の「仏教」を読んでいて“提婆達多”という名前が出てきた時は驚きながらもうれしくなったけ。川内“おふくろさん”康範氏のスケールの大きさが心地よい。


 平塚駅からタクシーで現場へ。途中“フルハムロード良枝”という看板を見つける。まだあったんだ。


 今日の仕事現場に到着。繁華街からけっこう離れた高台にあるこの場所からは思った以上に富士山が間近に見えた。その真っ白な富士の近くにある小振りの山をさして現場にいた人が「あれが大山です」と言っているのが聞こえた。おお、あれが落語の「大山詣り」有名な大山かと思う。


 その後、陽が差さず気温のあがらぬ野外で夕方まで仕事。体に寒さがしんしんとしみてくる。


 帰りはバスで。車中は柳家小三治大山詣り」を聴きながら。ちょうど《お毛が(お怪我)なくってお目出度い》で駅に着く。


 駅前のブックオフへ寄り道。


 帰りの電車では「篦棒な人々」から康芳夫篇を読む。猪木対アリ戦やオリバー君特番など少年時代の強烈なテレビ体験を思い出す。また、三浦和義騒動が話題にあがっており、さっきほど見た“フルハムロード良枝”との符合にちょっと驚く。


 地元の書店で。

  • 『Lmagazine』2月号
  • 『TITLe』2月号

TITLe (タイトル) 2008年 02月号 [雑誌]

TITLe (タイトル) 2008年 02月号 [雑誌]

 この店では『Lmagazine』の1月号は姿を見なかった。いきなり2月号に飛んでしまった感じ。
 『TITLe』は他の複数のブログでとりあげられていた雑誌特集号。


 帰宅後、昨日の残りのレタス半個を使って今日も冬のスープを作る。レタスは外側の青い部分よりも芯に近い白い部分の方が美味しいことを確認する。


 コンビニで買ってきた“男のショコラ・プディング”をクリスマスケーキ代わりに食べる。別に『Lmagazine』が“チョコレート革命2008”という特集だったから買ったわけではないけれど、これがなかなか美味しい。


 『Lmagazine』から山本善行さんの天声善語を読む。山本さんのブログにもよく出てくる出町柳駅前の「ラッシュライフ」というジャズ喫茶に行きたくなった。


 午後の仕事で冷えた体を温めようと湯舟につかる。BGMは、昨日やっと発見したアン・サリーおすすめの3枚のうちのひとつであるナット・キング・コール「アフター・ミッドナイト」。

アフター・ミッドナイト

アフター・ミッドナイト

 別にクリスマスアルバムではないのだが、コールの歌声はどこか祝祭的な感じがして、電灯のスイッチを切り、キャンドルの灯だけの浴室で聴いているとちょっと落ち着いた気持ちになる。