書を持ってさらにいくつかの本を買う。

 

 大晦日である。だからといって特に何があるわけでも何をするわけでもない。

 

 

 厚切りトースト2枚とコールスローとポテトサラダの朝食をとり、昼前に家を出る。今日は午後1時過ぎからテアトル新宿で映画「この世界のさらにいくつもの片隅に」を観に行く予定なのだ。

 

 

 車内の供は例年のお約束のこれ。

 

 

-中野翠「だから、何。」(毎日新聞出版

 

だから、何。

 

 『サンデー毎日』の連載コラムの一年分をまとめたもの。これも今年の出来事だったんだという確認作業をさせてくれる貴重な一冊。1月にはNHK大河ドラマ「いだてん」が始まっている。あれからもう1年か、「いだてん」ロスが続くな。

 

 

 

 余裕を持って出てきたので、神保町経由のルートにして神保町で下車。東京堂書店で本を2冊。

 

 

-『フリースタイル』44号“THE BEST MANGA 2020 このマンガを読め!

 

-安田謙一・辻井タカヒロ「書をステディー町へレディゴー」(誠光社)

 

 

フリースタイル44 特集 THE BEST MANGA 2020 このマンガを読め!

書をステディ町へレディゴー

 

 

 

 前者はこれも年末恒例のマンガ特集。この特集で新しい作品と出会うことも多い。

 

 後者は京都の書店である誠光社が出版した本。「あとがき」を夏葉社の島田潤一郎さんが書いているのに惹かれた。

 

 

 

 神保町から新宿三丁目へ。テアトル新宿へ。3年前にここで「この世界の片隅に」を観ている。その年の大晦日二子玉川でもう一度観直しをしている。そして、今年の大晦日はその前作に30分程度の追加シーンを入れた長尺版「この世界のさらにいくつもの片隅に」を観ようというのである。

 

 

 今朝から水分補給を最小限にしてこの映画に合わせて準備をしてきた。元々子どもの頃からの頻尿で、小学生の時に心配した親に医者に連れて行かれたこともある。そのため3時間近い映画を途中退席なしに見通すためにはそれなりの準備が必要なのだ。結果は無事エンドロールの最後まで退席なしに観通せた。その分、他の水分がずいぶん活発だったが。映画の大半はもう何度も観ている内容であるが、飽きるなどということはなく、むしろ今回追加された“白木リン”が入ることによってこれまでのシーンの意味合いが変化し、新鮮な感動があった。誤解を生じる言い方かもしれないが“すずさん”がより生々しく、艶かしく見えた。だからこそ、その日常が愛おしく、それを根こそぎなぎ倒していくものが腹立たしい。思い切り水分を放出して劇場を後にする。

 

 

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

 

 

 帰宅して、大晦日恒例のすき焼きで夕食。今年は白菜の代わりに玉ねぎを使う。奮発した牛肉も美味しい。これで今年も無事に年を越せそうだ。

 

 

 今日買ってきた「書をステディー町へレディゴー」から「あとがき」(島田潤一郎)を読む。島田さんの文章には引用したくなるような魅惑的なフレーズが多い。

 

 

《なにかを伝えたいのだとすれば、その情熱と同じくらいユーモアを。迂路を。転調を。レコードが一本の溝であるのと同じように、文章もまた一本の線だ。それは情報ではなく、コピー&ペーストできる断片でもなく、音楽と同じような何かだ。》

 

 

 

 今年もほとんど更新できないこのようなブログにお付き合いいただきありがとうございました。来年もマイペースで続けていきます。

 

 では、よいお年を。