志賀直哉の名誉のために。

 

 9月18日。

 朝食は朝8時からとなっているためゆっくり起きて焼き魚と漬物と海苔でご飯をいただく。こんな純日本式朝食を食べるのはいつ以来だろう。

 

 

 9時に宿を出る。5番のバスで京都駅まで行き、コインロッカーに大きなバッグを預けて身軽になったところで地下鉄と京阪電車を乗り継いで出町柳へ。いつもの店で自転車を借りて京都2日目スタート。小雨がパラついて困ったなと思っていたら、鴨川を渡って出町座のある商店街までほんの数百メートル移動したら雨はもう降っていなかった。やはり川の周辺は天気が変わりやすい。

 

 

 まだ11時前のなので古本屋はほとんど開いていない。この時間は新刊書店を縫っていく。出町座の中にある本のコーナーをチェックしてから誠光社へ。

 

 

-高野文子「『私』のバラけ方」(カタリココ文庫)

-伊丹十三記念館ガイドブック(伊丹十三記念館

-小見山輝「俳句の鬼 西東三鬼の世界」(岡山文庫)

-長崎訓子「CATNAPPERS 猫文学漫画集」(ナナロク社)

 

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Catnappers 猫文学漫画集

 

 

 

 高野本は大竹昭子さんが行なっている「カタリココ」というトークイベントを書籍化したもの。文庫サイズの小冊子で表紙に「ドミトリーともきんす」の母娘の絵があしらわれている。高野文子好きにはたまらない一冊。奥付に協力として記載されている目白のブックギャラリーポポタムに行けば手に入るだろうと思っていたら京都で出会えた。

 

 

 伊丹十三記念館のガイドブックも文庫本サイズの冊子だがこちらはドストエフスキーの長編小説くらいの厚みがある。カラー写真も豊富に載っていてデザインも洒落ている。まさに伊丹十三記念館といった感じ。

 

 

 新潮文庫の「神戸・続神戸」と並んで面陳されていたのが「西東三鬼の世界」。“三鬼思い出アルバム”や年譜まで載っていて西東三鬼への興味が湧いたばかりの人間にはまさにご馳走とも言える本。岡山文庫が何気なく置いてあるところはさすが誠光社。

 

 

 「猫文学漫画集」は店頭の平台に積まれていたので手に取った。赤川次郎筒井康隆別役実中原昌也芥川龍之介更級日記などの猫が出てくる作品を漫画化したもの。ちょっとラフな感じの絵柄もいい感じ。

 

 

 この他に誠光社のオリジナルトートバックを購入。趣味のいい店に似合う趣味のいいトート。「READ MORE BOOKS」のロゴをあしらったバッグに小さく黒いタグが見えるように表裏に跨って付いているのもいい。

 

 

 いつの間に雨の気配はかき消えて陽射しが照りつけて暑くなる。朝も通った蔦屋書店や宿の前を自転車で駆け抜け、ホホホ座へ。

 

 

-山下賢二・松本伸哉「ホホホ座の反省文」(ミシマ社)

-『てくり』23号

 

ホホホ座の反省文

 

 今年出た「ホホホ座の反省文」はやはりホホホ座で買わなければと購入。『てくり』は盛岡のタウンマガジン。これまでの何冊が買っているのだが、東京の書店では手に入りにくく定期購読を企んだのだが、なぜか上手くいかず、京都で見つけて入手したというところ。

 

 

 いつもならここから恵文社一乗寺店まで足を伸ばすのだが、暑さもあるし、今回はのんびり過ごすことをテーマとしているので、このまま善行堂へ向かうことにする。その前に昼食を済ませておこうと前にガケ書房があった近くにある定食屋大銀へ寄る。岡崎武志さんが愛用した店(実際にはこの店舗とは別の大銀らしいが)ということで知り、以前にも一度入ったことがある。白川通からちょっと奥まった所にあるため店の前はひっそりとしているので昼時なのに客がいないのではとちょっと心配しながら暖簾をくぐると店内はギッチリと客で賑わっていた。生姜焼き定食を頼む。何にしてもご飯の盛りがいい。濃いめの味付けのおかずで白米をワシワシ食べる。これが定食屋の醍醐味だ。

 

 

 白川通銀閣寺前まで戻り、いつものコーヒースタンドでブレンドをテイクアウトし、それを手土産に善行堂へ。

 

 

 平日の午後だというのに善行堂は数人が棚に見入っていた。その中には横浜から善行堂目当てに仕事を休んできたという本好きの人がいて善行さんと楽しげに話している。横浜の古本屋の話になり「ツイードブックス」の名前が出てきたので、善行さんに説明するつもりで「東横線の白楽にある古本屋さんですよね」と思わず声をかけてしまう。いい店はやはり地元の本好きに知られているのだなとうれしくなる。それにしても仕事を休んでわざわざ横浜から来るなんてかなりの本好きだなあと思った途端、天に唾する行為だと気づき肩をすくめる。

 

 

 いつものように店内の棚を何度も眺め、気になる本や善行さんオススメの本などを棚から抜き出す。

 

 

-「美意延年 新村出追悼文集」

-林哲夫「父の仕事場」(TONERIKO)

-矢向季子・隼橋登美子・冬澤弦「一九三〇年代モダニズム詩集」(みずのわ出版)-

-文・寺田寅彦 絵・高橋昌子「科学絵本 茶わんの湯」(窮理社)

-『本と本屋とわたしの話』15号

 

 

 

 これらの本のほとんどが善行堂に行かなければ出会わなかった本だと思う。こういう出会いの面白さも含めてここにくる楽しみがある。善行さんは善行堂10周年を記念して作ったというブックカバーを巻いてくれる。栞も色違いで2つ入れてくれた。気がつけば2時間が過ぎていた。帰りの新幹線の時間を考えて3時に善行堂を出る。

 

 

 出町柳で自転車を返し、電車で京都市役所前へ。昨日休みだった三月書房へ行く。

 

 

-グレゴリ青山とキリカメ7「ナマの亀岡」

-藤枝静男志賀直哉天皇中野重治」(講談社文芸文庫

 

志賀直哉・天皇・中野重治 (講談社文芸文庫)

 

 

 「ナマの亀岡」は京都で手に入れようと思っていたものの一つ。善行堂で買うつもりであったが、残念ながら善行堂では仕入れたものすべてを売り切ってしまったということで手に入らず。ここでめでたく入手。亀岡市のPR活動の一環として市が出している冊子とのこと。300円と安いのもそのためらしい。グレゴリ青山本はやはり買っておきたい。

 

 

 藤枝本は帰りの新幹線で読む予定で持ってきた本が志賀直哉「暗夜行路」(新潮文庫)だから。去年の夏、尾道志賀直哉旧居後で買った本。一年越しにやっと読み出そうというわけ。

 

 

 17時過ぎの新幹線で帰る。今回は窓側の席をゲット。すき焼き弁当を食べて「暗夜行路」を読み始めたが腹が満ちて気付いたら1時間近く寝ていた。決して「暗夜行路」がつまらなかったわけではない。志賀直哉の名誉にかけてそれだけは言っておきたい。

 

暗夜行路 (新潮文庫)