昨日があるから今日がある。

 昨日は誕生日だった。

 

 

 だからと言って特に何があるわけでもない。4月からは忙しくなることが予想されるため今年初めての墓参りに行くことにした。

 

 

 2時間弱の電車の旅のお供は、これ。

 

 

-宮部みゆき「希望荘」(文春文庫)

 

 

希望荘 (文春文庫)

 

 

 “杉村三郎シリーズ”第4弾。4つの短編が入っている。作者が「どうしても震災当日のことを書いておきたくて」2011年の設定で書いた「二重身」を読む。実は宮部みゆき作品は「蒲生邸事件」しか読んだことがない。その1作だけでも彼女が優れたストーリーテラーであることはよくわかった。「希望荘」の作品群を読んでもその印象は変わらない。どの短編も人間ドラマを印象深く読ませてくれる。

 

 

 墓参りを済ませて、知人のパン屋まで足を伸ばす。職場で配るホワイトデー用の菓子を頼んであり、それを取りに行く。

 

 

 

 店内で買ったパンを食べながら、知人と少し話す。知人の娘も店に来ていた。この間生まれたばかりだと思っていたがもう2歳だという。知人と出会ったのは平成2年。その時彼は中学生だった。その彼が親となっていると思うと感慨深い。

 

 

 

 行きの電車で「希望荘」を読み終えてしまったので、帰りはこちらを読む。

 

 

-横田順彌「快絶壮遊[天狗倶楽部]明治バンカラ交遊録」(ハヤカワ文庫)

 

 

快絶壮遊〔天狗倶楽部〕 明治バンカラ交遊録 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 大河ドラマ「いだてん」の関係書籍ということで、最近文庫化された本。巻頭に天狗倶楽部のメンバー表が載っていて総勢は100名を超えるという。

 

 

 

 

 

 乗り換えの神保町で、無性に“杉村三郎シリーズ”の続きが読みたくなり、三省堂に寄って最新刊の単行本を購入。

 

 

 

-宮部みゆき「昨日がなければ明日もない」(文藝春秋

 

 

昨日がなければ明日もない

 

 

 

 こちらも3つの短編を収めた作品集。いや長さからいったら中編集か。最初の「絶対零度」は180ページほどの長さがある。設定は震災後の2011年11月。直接ではないが、震災の存在が背景として感じられるように書かれている。決して明るい話ではないが、人間の善意と悪意がじっくりと書かれていて読ませる。

 

 

 

 

 

 帰宅して、買ってきたパンに焦がしキャベツとベーコンのスープで夕食。「いだてん」と「水曜どうでしょう Classic」を観て就寝。

 

 

 

 今日は、2時46分に職場で黙祷があった。職場の同じ部屋で8年前に大きな揺れを感じたのが昨日のようだ。スマートホンから溜まったポイントを使った寄付をする。少額だが、震災を忘れないように自分に言い聞かせるための行為。

 

 

 今年もこの歌を聴く。毎年同じことを繰り返すのも忘れないため。忘れたいことや忘れた方がよいことは色々あるが、忘れてはいけないこともある。


アン・サリー「満月の夕 」