いま飲んでいるのがバリウムなら。。。

 今年も年に一度の日帰り人間ドックの日が来た。例年通り、神保町近くにある職場の契約機関の健診センターへ。8時過ぎに到着し、これもまた例年通り、発泡剤とバリウムを飲まされ、逆さ吊りにされる非人道的な検査に憤りを感じる。「右手の方から素早く回転して、仰向けになり、思いっきり息を吸い込んだらそこで息を止めて、もう少し体を右に傾けて、いや、もうちょっと右、手は上にあげて、ハイそのまま。」でパチリ。これが何度も繰り返されるのだ。10時半に検診が終わる。


 30度を超える夏日の太陽の下に出て、ペットボトル飲料をがぶ飲みする。暑さだけではなく、バリウム検査のため、朝から食事と水分補給を止められていたので体が水分を求めているのだ。


 12時間以上何も口にしていないので、昼はしっかり食べたい。そこで久しぶりにうどんの丸香に行くことにする。一度店の前まで行って見たが、まだ支度中であった。どうやら11時開店らしい。それまで、本屋へ。



 東京堂書店で欲しかった本をあれこれ。


MONKEY vol.15 アメリカ短篇小説の黄金時代
いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ。 小西康陽責任編集・大映映画スチール写真集
春風コンビお手柄帳
お下げ髪の詩人




 雑誌『MONKEY』はこれまで地元の書店で買っていたのだが、何故か今号はいつまで待っても入荷せず。そのため、ここで購入。

 大映映画スチール写真集も、地元に入らず。小西康陽監修とくればやはり欲しくなる。モノクロ写真集で小西さんが黒の色出しにこだわったという通り、黒がすばらしい。拳銃を持った田宮二郎のお茶目な写真を集めた数頁にまず目が行く。特に53頁の田宮二郎のファッション、ポーズ、構図など見事としか言いようがない。巻末には、朝倉史明さんによるスチールカメラマンへのインタビューや小西さんによる解題がついている。解題によるとこの写真集を出したいと思っていた小西さんに朝倉さんを紹介したのは『名画座かんぺ』主筆で『銀幕に愛をこめて』構成の“のむみち”さんだったことを知る。その朝倉さんが企画書を作ってDU BOOKSに持ち込んだことによってこの本が日の目を見たとのこと。「グッジョブ、のむみち」と言いたくなる。後ろに紙が挟まっているので開けて見たら小西さんのサイン本だった。嬉しいおまけ。


 小沼丹の未刊行少年少女小説集は、小沼丹推理小説が入った「春風コンビお手柄帳」に興味があり、ついつい青春編も買ってしまった。いい本を出してくれる幻戯書房への感謝の意味も込めて買いたくなった。



 11時5分前に丸香に行って見るとすでに20人くらい並んでいた。並ぶのは好きではないのだが、久しぶりにここの肉うどんを食べたかったのと、開店すればここにいる人数くらいは店内に一挙に雪崩れ込めるだろうと判断して列に加わる。ただ、目論見は外れて、僕の二人前で店の戸は一度閉められてしまった。腹に爆弾を抱えているので、ちょっと焦るが、すぐに呼ばれて中に入れた。肉うどんはいつも通りうまかったのだが、斜め前に座っている女性が「釜玉カルピスなんとか」という注文をし、店の人が「お待たせしました、釜玉カルピスなんとかです」とうどんを持ってきたのが気になった。聞き間違えかもしれないが、僕には確かに「カルピス」と聞こえた。本当にそんなメニューがあるのだろうか。



 腹中に不安を抱えているため、まっすぐ帰宅の途へ。途中の車内はこちらを読む。


こないだ [ 山田稔(仏文学) ]


 装丁・造本がこれまでの紙カバー付きのものから夏葉社ライクなものに変わったという評判の最新エッセイ集。外見は変わっても中身はいつものように山田稔さんならではの散文たち。この本の題が「こないだ」になった理由は「名付け親になる話」を読めばわかる。新しい雑誌の名前をつけて欲しいと頼まれた山田さんが出した案が「ぽかん」と「こないだ」のふたつ。結局前者が採用され、後者の「こないだ」は選ばれなかったことが書かれている。その「こないだ」をここで使ったということなのだろう。

 その『ぽかん』の最新号が出たという知らせを聞いた。ミニコミなので京都でないとなかなか手に入らない。この夏は『ぽかん』を手に入れるために京都に行ってみようかと思っている。