粉か豆か。

 むしゃくしゃすることがあり、知人へかなりきつめのメールを送る。


 そのことがまた軽い後悔の念となってむしゃくしゃがまた募る。



 むしゃくしゃが募れば本を買ってすっきりしたくなる。


 だから今日も本屋へ行く。

言葉を生きる (単行本・ムック) / 片岡義男/著
[rakuten:hmvjapan:11856830:image]




 片岡本の装釘は平野甲賀氏。まったく外見上は岩波の本とは思えない。一昔前なら晶文社、今ならフリースタイルの本ですね、これは。


 堀江本は、今朝職場で講談社のPR誌『本』に掲載されていた堀江氏の自著解説を読んでしまったため、初出の『群像』で既に読んでいるけれどもやはり欲しくなって買ってしまう。この自著解説では登場人物の枕木さんを共有する「河岸忘日抄」にも言及されており、久しぶりに再読してみたくなった。ただ、文庫が家のどこにあるのか忘れてしまった。新潮文庫の棚には姿はなく、すでに品切れ状態なのかもしれない。



 片岡本と堀江本に共通するのはともに印刷所が“精興社”であること。そしてともにコーヒーにまつわるエピソードを持つこと。「燃焼のための習作」の枕木さんはひたすらネスカフェのインスタントコーヒーを飲み、「言葉を生きる」の『あとがき』で片岡氏はコーヒー豆をバンダナで包んでドライバーの頭で砕いたそれをお湯につけて作ったコーヒーを一編の短編小説にたとえている。


 インスタントでも豆でもどちらで入れたコーヒーも僕は好きである。