完璧なるミスティ。

退勤時間と同時に職場を出て神保町へ。

今日は東京古書会館で“古本・夜の学校vol2”の向井透史坪内祐三トークショーがあるのだ。

会場に着くと出張販売をされている書肆アクセスの畠中さんを見つける。先日の『spin』のお礼をする。土曜日にはなかったこの雑誌が今日はアスセスや東京堂にしっかり並んでいたのに驚いた。

退屈男さんの姿を見つけて隣りに座る。この会の1回目のときも隣りで見たのでここが定位置のような気がする。おまささんも来場。談春独演会の情報などをいただいた。

トークショーは座談の名手坪内さんと聞き書きの達人向井さんの両者だけにダレたり途切れたりすることなく楽しい話が目白押し。笑いながら早稲田古本屋街周辺の70年代から現在までの場所としての記憶が興味深い人々の姿とともに描き出された2時間弱だった。

トークの内容とは別に、少し遅れて入場し、主役二人の真ん前の席に腰掛けたおじさんの一挙手一投足に嫌でも目がいってしまう。熱心にメモをとっているのだが、突然大きな音を立ててレポート用紙を破いてみたり、話の途中で急に『國文学』を読み始めたりするからこちらからも眼が離せない。隣りをみると退屈男さんも大笑いしていた。この方、坪内さんのファンの方なのだが、それにしては質問の内容を聞いていると、坪内さんの本を読んでいれば知っているはずのことをご存じない様子。いや、不思議な方でありました。

終了後、いらしていたリコシェの阿部さん、古書往来座の瀬戸さんと言葉を交わし、向井さんにご挨拶して帰ろうとしていると退屈男さんから東川端さんを紹介される。退屈男さんとお二人で新書の新刊リストに眼を輝かしている様子が印象に残った。

会場で貰った『早稲田文学』所収の坪内祐三インタビューを読みながら帰る。

帰宅して、松本八郎加能作次郎三冊の遺著」(スムース文庫)の続きを読む。今日のトークショーで今はない萩原書店で松本さんが加能作次郎の本を3冊見つけたということが坪内さんの口から出て、昨日ちょうどその箇所を読んだばかりだったのでその偶然がうれしい。

今日の「特別な一日」は「ある出会い」。ついに山田稔少年は京大生となり、フランス語と出会うのだ。

昨日の夜からサラ・ヴォーンの「ミスティ」を聴いている。僕がジャズを聴くキッカケを作ってくれた曲の一つ。
1958年のパリ録音でズート・シムズの入ったクインシー・ジョーンズ・オーケストラがバックだ。
「完璧とはなんだ」といま問われたら迷わず「これだ」と答えてしまうだろう。