古本者は歩くのだ。

今朝は、肌に当たるヒンヤリとした風にも後押しされ、久し振りに職場まで30分ほど掛けて歩いて行く。ipodアン・サリーを聴きながら。
帰りも地元の本屋を覗きながら歩いて帰る。
新刊書店で2冊。

尾辻本は解説が坪内祐三さんであると知り、即決。解説を読んでますます興味がわく。佐藤本は“まえがき”で前著「『面白半分』の作家たち」(集英社新書)とは内容の重複はないと断っている。金子光晴・森三千代夫妻に1章割かれているのが興味深い。
昔ながらの古本屋の均一台で1冊。

その後、繁華街のハズレの新古書店系の店の前を通ると、閉店セールが。“店内全品値札の半額”と書かれている。店の半分をマンガが占める個人経営のこの店は、古い本の掘り出し物はないが、新刊がすぐに新古本として入手できる店として時折お世話になってきた店だ。「須賀敦子全集」などはほぼ全冊を発売数日後にはこの店で定価の3割引程度の値段で入手した。好きな店という訳ではなかったが、やはりなくなるのは寂しい。セールは数日前から行われているらしく、店内の棚はあちらこちらに隙間が空いている。新入荷の棚から1冊見つける。

戦前の軽井沢、日比谷高校、パリ留学の様子が綴られる“教授”の自伝的小説。新刊で買ってもいいかなと思っていたこの本が500円。
こうした発見ができたのも、乗り物を使わず歩いていたからだ。やはり、古本者は歩くべきである。
自宅でブログ散歩。このところの退屈男さんの活躍は目覚ましい。先日の「退屈男と本と街」で、一箱古本市関係ブログをまとめるという快挙を成し遂げたと思いきや、今日は向井さんの「古書現世店番日記」からあの“いこいさん”(僕も大ファンです)の登場する日の日記を収集し、一覧にしてしまっている。一度にまとめて“いこいさん”サーガが読めるとは、栗本薫グイン・サーガ」100冊突破に比肩する偉業である(ちょっと大げさでしょうか)。
豊富な情報収集力で、新たな注目ブログやネット上での耳より情報をこまめに報知してくれる「web読書手帖」の四谷書房店主さんとこの退屈男さんの存在は、書物系ブログ愛好者にとって闇夜を照らす左右のヘッドライトのようなものだ。お二人のブログの楽しさに接することがなければ、僕が自分のブログを持つことはなかったと思う。
これからも、頼りがいのある先輩として頑張っていただきたいものだ。